2016/07/18にソフトバンクがARMを約3兆円で買収するニュースが流れ、世界中に激震が走っています。ARM社といえば、CPU(主に低消費電力)の設計図を売る会社として世界的な規模の会社です。今回は、この件について業界人でなくてもわかるように、平易にまとめてみたいと思います。
【関連記事】ソフトバンクがARMを買収。ARM側の人間が記者会見にいなかった理由
なおこの記事を書いている2016/07/18 23時時点では、次のサイトが今回の件についてよくまとめてくださっているように思えますので、ぜひこちらも参考にしてください。
ソフトバンクは、なぜARM社を3.2兆円もの大金で買収するのか?
ARM社とは
どんな会社?
パソコンやスマホの頭脳にあたるCPUを作る会社です。作る、といっても実際に工場で作るわけではなく(工場がない会社のことをファブレスといいます。ファブ=工場、レス=ない)、設計図を作り特許を押さえ、それを他社に対してライセンス(売る)している会社です。
ARMのCPUの特徴は?
低消費電力です。加えてTrustZoneと言われるセキュリティ機構を備えているため、決済機能などを備えたスマホ向けに圧倒的なシェアを誇っています。
ライセンス先は?
それはもう様々な有名な企業の製品に、直接的および間接的にライセンスしています。大きなところを幾つか挙げておきます。
- Apple
- AppleはiPhone向けに独自CPUを作っていますが、それもARM系のCPUであり、ライセンスを受けています
- 設計図ではなくて、命令セットという形でライセンスしているのですが、細かいので割愛します
- AppleはiPhone向けに独自CPUを作っていますが、それもARM系のCPUであり、ライセンスを受けています
- Qualcomm
- スマホが通信できるようにするためのチップセットを作っている会社
- 後述しますが、スマホにおいては、ARMと同じぐらい川上に存在する会社です
- ARMの方がより川上にいますけど
- AMD
- ARM系の対義語として扱われるx86系の会社
- なのにARMのCPUも積むというニコイチ型のアプローチをとっている
- それぐらいARMの影響力が大きくなっているということ
川上っぷりの図解
ARMがどれくらい川上にいるかを図解してみました。
点線は、次のことを意味します。
- IntelはAtomというスマホ向けチップセットをやっていたけど撤退
- nVIDIAはTegraというスマホ向けチップセットをやっていたけど撤退
- nVIDIAはTegraの際に、ARMよりライセンスを受けていた
なお、ここに載せきれていないもの(RaspberryPiやPlayStationのコントローラなど)もまだたくさんあります。
次の主戦場は車載
ソフトバンクの買収のニュースが流れた際に、シナジー効果がどれくらいあるかが疑問、的な声も上がっていましたが、現状のビジネス形態で考えていてはダメです。
孫正義さんがどれくらい深遠なる先見の明でARM買収に踏み切っているのかはご本人しか分かりませんが、IoTというバズワードにおいて、車載系はすでに巨大な市場があることが見え始めていて、スマホの次にくる主戦場であることは間違いありません。
実際、上記IntelもnVIDIAも「スマホは飽和している、これからは車載」という言葉とともに、スマホ系のチップセットから撤退しています。
シェアリングエコノミーの原点とも言えるカーシェアから始まり、徐々に実現されはじめている自動運転など、車載系のビジネスはこれからです。
孫正義さんが、ARMの買収とともに今後どのような世界を描いていくのか、非常に楽しみでなりません。
【追記】
なお、孫正義さんはARM買収で、IoTとしてのプラットフォームを取ることを狙っていると明言しています。
ポケモンGOのブームからプラットフォーム論について考察した記事があるのでもしご興味があればお読みください。
ポケモンGOの収益構造から考えるプラットフォーム論(猿でもわかる)
【追記2】
アマゾンのプラットフォーマとしての横暴について記事にしました。