カテゴリー
社会

英EU離脱派が勝利。離脱は本当に実現できるのか

現地時間の2016/06/23に、英国で行われていた国民投票で、EU離脱が残留を上回り、英国のEU離脱(いわゆるBrexit)の勝利となりました。今回は、これから本当に英国のEU離脱が実現されていくのかについてまとめてみたいと思います。

 

【関連記事】ブレないTV東京。イギリスのEU離脱でも美味しいスパゲッティを放送

【関連記事】英EU離脱。2016サミットでの安倍首相の予言が的中(結果論)

【関連記事】英EU離脱。そもそもなぜ国民投票をしたのか理由・経緯まとめ

【関連記事】英EU離脱の投票率が高かった割に投票後にEUとは?をググる人が多かった理由

【関連記事】英EU離脱。日本の若者が今後すべきこと

【関連記事】英EU離脱。すでに移住しているEU市民(非英国人)はどうなるのか?

 

2016/06/23の国民投票

開票結果は下記の通りで、かなりの接戦でした。

  • 投票総数3357万7342票
  • 残留は1614万1241票(48.1%)
  • 離脱は1741万742票(51.9%)
  • 無効票が2万5359票

 

投票やり直しを求める動き

下記NHKニュースにあるように投票やり直しを求める動きも出ています。

ある請願への署名が10万人を超えると、議会は、請願の内容について議論するかどうか検討しなければならないということです。
しかし、国民投票が再び行われる可能性は低いとみられています。

 

毎日新聞によると、この請願は国民投票前から出されていました。

請願は国民投票前から出されており、国民投票の投票率が75%未満で、多数だった方の得票率が60%未満だった場合、やり直しを求めるとの内容。実際の投票率は約72%、多数だった離脱支持は約52%だった。

 

EUに残りたいものたち

英国は連合王国で、ロンドンと下記4つの地域で構成されます。

  • イングランド
  • スコットランド
  • 北アイルランド
  • ウェールズ

EUに残りたい各地域では、英国から離脱して独立する動きが出ています。

 

地域だけでなく、ロンドン市の独立の動きもあります。

 

逆にいえば、ロンドンを除くイングランドと、ウェールズが離脱派が多かったことが分かります。

 

個人としても、EU残留のためにアイルランド(北アイルランド地域ではなく国としてのアイルランド)のパスポートを取ろうとしている動きもあるようです。

 

英国のEU離脱までの手続きは超大変

BuzzFeedの以下の記事に、離脱までの手続きがまとめられています。

【EU離脱】イギリスのこれからの手続きの流れを1分で説明します

 

ひとことで言えば超大変です。EUからの加盟国の離脱は前例がなく、英国にとっても、EUにとっても課題が多いようです。特に、以下引用の部分は大変そうです。

イギリスは、EU以外の国と結んでいる、53の自由貿易協定を結び直す必要がある。

 

 離脱手続きをすすめるリーダは?

残留派だったキャメロン首相は、今回の結果を受けて10月までに辞任することを表明しました。離脱派だった有力者の中から後任が選ばれていくのだと思います。ジョンソン前ロンドン市長が有力とも言われています。

ただ、前述の通り離脱と残留が拮抗している中で、離脱を推進するリーダーの選別は難航するのではないかと予想されます。

 

EU側の動き

一方で、EU側は、英国に早期離脱の交渉を要求しています。

英に早期離脱交渉要求 連鎖阻止に全力(毎日新聞)

 

これまで英国に対していろいろと譲歩をしていたEUですが、離脱勝利の結果を受けて、その他の国々にこの影響が波及しないように毅然とした態度で英国と交渉に望むことが予想されます。

 

英国の離脱は実現するのか

国民投票で離脱が勝利したからといって、すぐに離脱というわけにはいかないことがお分かりいただけたと思います。

離脱への長いプロセスを経ている間に英国の民意が変化し、結局元のサヤへ収まる、という可能性もゼロでは無いと思います。

国民投票の結果に対する実行について法的拘束力はありません。一方で、国民投票で民意が示された以上、政府はその民意にそって交渉をすすめる必要があるのも事実です。

少なくともわかっていることは、今の英国がこの形のまますんなりとEUから離脱できるわけではなく、今後リーダの選別から、離脱交渉、周辺国の動きによる民意の変化などを受けて、今とあらゆる面で(英国そのものの構成など)形を変えながら離脱へと進んでいくだろう、ということです。