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ポケモンGOの収益構造から考えるプラットフォーム論(猿でもわかる)

成功するプラットフォームとは?

プラットフォームとは、この記事では、「土台」「基盤」といった物事のベースになるもの、の意味で利用しています。そして、次の3点が満たされていることが、プラットフォームの良い握り方の条件と考えられます。

  1. その上で第3者が何かのビジネスを行う際に手数料のような中間マージンを得られる仕組みを構築できている
  2. プラットフォームの構築に時間的・金銭的なコストがかかるため、他社が容易に構築することは難しい
  3. 別のプラットフォームに乗り換える際に、心理的・金銭的な抵抗があるため、ユーザがなかなか乗り換えることができない

Nianticが構築したプラットフォームとは

ポケモンGOは、AndroidやiOSというプラットフォームの上でサービスされていて、そのためにプラットフォーム屋(GoogleやApple)に取引手数料を払う必要があります。

任天堂はDSやWiiなどの専用ハードでポケモンをこれまで展開していました。つまり自前のプラットフォームで展開をしてきたのですが、これがうまくいかなくなりスマホゲームにシフトしてきた、という経緯があります。よって、GoogleやAppleに手数料を取られても仕方がない、それでも自前プラットフォームでやるよりは数が出てビジネスになる、という判断しているのです。

※ ポケモンGOで任天堂が直接利益を上げることはないと述べたのですが、間接的には得るし、もともとプラットフォームを持っていた立場の任天堂で語ったほうが分かりやすいので、ここでは敢えてそうしました。

 

一方で、スポンサー企業向けの集客ビジネスでは、プラットフォームを取ろうとしているとも考えられます。

ポケモンGOは平たく表現すれば、

現実世界の地図の上に、ポケモンが生息する仮想世界の地図を重ねあわせたお散歩アプリ

に過ぎません。

しかし、ポケモンの仮想世界を利用することで、ある場所に対して設定一つで価値を与えることができるのです。これってよく考えるとスゴいことじゃないですか?

あなたの家の近くの普通の公園に人が殺到するプレミア感を現実世界だけで与えるには、

  • ものすごく面白い遊具を設置する
  • 超有名な芸能人のイベントを開催する

という感じに莫大なコストがかかるのに対して、ポケモンGOの仮想世界で設定を一ついじって特殊なイベントが発生するようにすれば、そこに人が殺到するようになるのです。スゴいですよね。

Nianticはこのような仕掛けをもったプラットフォームを構築したのです。

これは、ポケモンという長年かけて育ててきたブランドを利用したものなので、他社がそう簡単に作れるものではありません。上記、良いプラットフォームの条件の1、2を満たしていると考えられます。

 

そのプラットフォームの将来性は?

では、このプラットフォームに将来性はあるのでしょうか?

あくまで筆者の私見ですが、このままでは厳しいかなと思います。理由は、ポケモンが生息する仮想世界でポケモンを捕獲する、という用途が特殊すぎるからです。言い換えれば、ユーザがポケモン捕獲に飽きた瞬間、このプラットフォームの価値がなくなるため、上記良いプラットフォームの条件3を満たせていないのです。

GoogleやAppleが構築しているプラットフォームはスマホでアプリを流通させる基盤であるため、アプリの内容に超がつく程の汎用性があります。

一方、ポケモンGOはそうではないのです。

筆者がプラットフォームを考えるときに非常に面白い事例だと思っているのがLINEです。LINEはAndroidやiOSというプラットフォームの上で動くアプリケーションですが、コミュニケーションという用途におけるプラットフォームを構築しています。

Android、iOSというプラットフォームの上に、LINEという層のプラットフォームをかぶせることに成功した事例だと考えられます。なんせ、LINE上で、スタンプやマンガなどの売買ができるまでに至っていますので。

これもLINEが、人と人のコミュニケーション、という人間の本質的な欲求を満たすための用途だったからこそ、ここまで長生きしているのだと思っています。

 

では、ポケモンGOはどうすれば良いのでしょか?

ヒントは、

現実世界の地図の上に、ポケモンが生息する仮想世界の地図を重ねあわせたお散歩アプリ

の文章にあると筆者は思っています。「お散歩」の部分です。

ポケモンを捕まえる、ということはとても特殊なので長生きするとは思えませんが、お散歩はどんな時代になっても廃れることはないと思います。具体的なイメージはありませんが、「お散歩」の部分を本質においてサービスを発展させ、お散歩する際に欠かせないプラットフォームとして確立し、ユーザが別のお散歩アプリに乗り換えることができないようにできれば良いのです。

 

そもそもNiantic、任天堂、The Pokemon Companyが、ポケモンGOをプラットフォーム化していくことを狙っているのかどうか分かりませんけどね。