天皇陛下が、天皇の位を生前に皇太子さまに譲る「生前退位」のご意向を示しているそうです。その場合、その後の呼び名は何になるのか気になって調べてみました。
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退位後は太上天皇
ご退位なされ天皇の位を譲位なさった後は、太上天皇(だいじょうてんのう、だじょうてんのう)と呼ばれるそうです。また、上皇と略することもあるようです。皇后美智子様の「皇后」の称号も、皇太后になります。
ちなみに、太上天皇が仏門にくだった場合、太上法皇と呼ばれるようです。
改憲が必要?
さて、この生前退位にあたって、改正が必要になるものが2つあり今後、議論が活発に行われるようになりそうです。2つとは、
- 皇室典範(こうしつてんぱん)の改正
- 日本国憲法の改正
になります。
皇室典範の改正
皇室典範とは、Wikipediaから雑に引用すると、
皇位継承及び摂政に関する事項を中心に規律した皇室に関する法律である。
のことです。
こちらのハフィントンポストの記事が非常によくまとめられていますが、
「天皇が崩じたときは、皇嗣が、直ちに即位する」とだけ記載されている。天皇の生前退位についての記載はないため、生前退位には皇室典範の改正も含めた検討が必要になる。
ということで改正が必要になるわけです。
日本国憲法の改正
日本国憲法第99条に定められている、「憲法尊重擁護義務」というものが議論の中心になります。第99条では、
天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。
と定められています。ここに太上天皇が存在しないことが論点になる可能性があります。
憲法尊重擁護義務の解釈について、諸説あることは前提として、筆者の理解を誤解を恐れずに書くと、
- 天皇をはじめ国会議員や国務大臣などの為政者(政治を行っているもの)に国家権力を集中させないように、憲法が制限している
- こうしなければ、国民の生活、国民の自由が脅かされることになる
ということになります。
よって、退位後の太上天皇が「憲法尊重擁護義務」を負うものに入っていないと、国民の生活、自由が脅かされる可能性があるのでは、ということで憲法改正の議論が生まれるのです。
なお、以下のように考えを述べている方もいるので、どのように議論が進んでいくのかはまだ不透明です。
上皇は、太上天皇の略だから、広義の天皇であり、憲法擁護義務を負う説(広義の天皇説)
上皇は、その他の公務員に含まれる説(公務員説)
上皇は、憲法擁護義務を負わないが、皇后や皇太子と同等の地位であり特段の問題はない説(皇族説)— イナサイト❤ (@soonsoul) July 13, 2016