2020年4月9日に放送されたカンブリア宮殿にて、ジャパンハートの最高顧問 吉岡秀人さんが紹介されていた。
番組紹介は下記の通り。
ボランティアで運営できる仕組みを作り上げ「医療の届かないところに医療を届ける」という活動は国内でも展開。持続できるNPOとは?ジャパンハートの活動に密着した。
東南アジアで15年以上にわたり医療活動などを続けるNPO法人ジャパンハート。これまで救ってきた患者は20万人以上。今では医師や看護師など年間800人以上のボランティアが参加する。大勢のボランティアがやってくる理由は、参加のハードルが高くないこと。
吉岡さんの信念や組織運営に関する考え方、若者に対するメッセージが素晴らしすぎて感銘を受けたのでまとめておきます。
若い人たちの価値観
吉岡さんは番組内で下記のように語っていました。
(吉岡さんの言葉)
バブルを経験した世代は物質的な豊かさが精神的な豊かさに直結していた。
でも今の世代の人達は生まれたときから、僕らが小さいときにはまだ持てなかった豊かさをすでにベースで持っている。
彼らが求めているのは何かというと「人から期待されたい」「人から必要とされたい」「社会の役に立ちたい」
すごく精神的なところに豊かさがシフトしていると思う。
世界遺産を巡る旅や、劇を見に行ったり、ヨガをやったり、自分の豊かな時間をつくるために若い人たちはどんどんひきこまれていくだろう。
このようないいものを見ること、体験すること、と同じように自らからお金を払ってボランティア活動に参加してくれる。
(吉岡さんの言葉、ここまで)
実際に番組でも、充実した顔でボランティア活動に参加される医師や看護師さんが何名も登場されていました。
自費で数十万円負担して参加していましたが、その価値は十分にあった。得られるものはとてつもなく多かったと語られていました。
NPO法人ジャパンハートの組織運営について
こちらも番組内で語っていた言葉を文章にしておきます。
(吉岡さんの言葉)
病院経営ではないので、患者を見れば見るほど赤字になっていく。ですから、組織の運営を可能にするような仕組みを考えていかなくてはならない。
個人が人生をかけてやる時代はもう終わった。それよりもいろいろな人達が入ってきて手術が展開されて、たくさんの人が医療を受ける。
僕一人だったら僕の体力の減少に合わせて成果が落ちるが、どんどん発展して社会的な利益が、ソーシャルメリットが大きくなっていく仕組みを作らなければならない。
(吉岡さんの言葉、ここまで)
お金について
NPO法人での活動からは吉岡さんは一切報酬を受け取っていないそうです。生計は、企業からの講演会の依頼や書籍の出版で成り立っている、とのことですが、お金に対する考えも下記のように語っていました。
(吉岡さんの言葉)
お金は本当に大切なものだと思っている。
お金は”靴”だと思っている。山を登る靴だと思っている。
いい靴を履いていないと足が痛い。恐る恐るしか登れない。
でもいい靴を履いたら駆け上がっていける。
お金がしっかりあると病院を建てたりもっといい医療機器を入れてあげたり、僕の望むところ、目指しているところにもっと早く駆け寄っていけるものだと思っている。
(吉岡さんの言葉、ここまで)
人生の転機となった小児がん患者のエピソード
人生の転機となったのは、末期の小児がんを抱えた子供(ウィンちゃん)のエピソードについても明らかにされていました。
吉岡さんは、その当時の現地の病院ではウィンちゃんの治療は手に負えないと断るしかなかったそうです。
(以下、吉岡さんの言葉)
母親に、”また様子を見に来る”と言って帰ろうと思った。
それは”死んだことを確かめに来る”ということ。
そう言って帰ろうと思ったときに、明日から医者をやっていく自信がなかった。
母親の顔を見ていたら言う言葉が変わって「日本に連れて行くか?」と聞いた。
(吉岡さんの言葉、ここまで)
このエピソードをきっかけに、どんな患者も断らないという信条が固まっていったそうです。
与える側に回れ
経済的に豊かではない日本の若者に対しては下記のようなメッセージを発していました。とある若者に伝えた言葉を紹介されていたのでそれを文章に起こしておきます。
(吉岡さんの言葉)
私はその若者にこう言ったんです。
「なぜ君が今まで幸せになれなかったか分かるか?」
「それはいつも与えてもらってばかりだからだ」と。
「これから与える側に回らないといけない。与える側に回れば必ず幸せになるから」
「受け取ってばかりだから君は幸せになれなかったんだよ」と言った。
「同じ病気の人たちをどんどん幸せにするように君が動け」
「そうしたら必ず社会は君のことを必要としてくれるしたいせつにしてくれるようになる」と。
(吉岡さんの言葉、ここまで)
まとめ
いかがでしたでしょうか?
どれもこのブログで紹介すると、なんだよく言われている言葉ばかりじゃん、って思う方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、村上龍さんが最後の編集後記でこう締めていました。
説得力がある。
自分で得た言葉だからだ。
そう、それだけ私はこの吉岡さんのご本人から発せられる言葉にはパワーがあり、決意がを感じ、心を動かされました。